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言葉の裏にあるもの

語学学習は、言語の道具を学ぶ学習です。

文法、言葉、発音、語彙力などは私たちの「道具」です。

僕たちは、頭の中にある自分の考えを最も適切に表現するために、

  • ・適切な文法
  • ・適切な単語
  • ・適切な発音
  • ・適切な表現

を選んで、口に出しているわけですよね。

つまり、僕たちが語学学習で学ぶ要素は、僕たちの考えを適切に表現するための「道具」なのです。

この「道具」はもちろん大切なのですが、これは国際的なコミュニケーションの要素の3分の1に過ぎません。

なぜなら、コミュニケーションには下記の図のような3つの柱がある、と僕は考えているからです。

上の方はもちろん「言語」ですが、他の2つの「文化」と「歴史」は「言語」の使い方に大きな影響を与えます。

文化とは、その国の基本的な文化や風習のことですが、これには、日常的な習慣や話し方なども含まれます。

言語は、文化に大きな影響を受ける

例えば、イギリスでは「皮肉を言う」という日常的な文化があります。ですから、ほとんどの人、特に友人同士の会話には皮肉的なコメントを混ぜることがとても多いです。

もちろん、親しい友人間ではどこの国にもある程度の「いじり合い」は存在しますが、イギリスでは、他の国より特にこの気質が強いと思います。

なぜなら、イギリスの文化的では「皮肉的な話し方」は「仲の良さ」の印なのです。

Example:

A: Hi, this is my friend Mark. His hair is always perfect!

(やあ、こちらは友達のマーク。こいつのヘアスタイルっていつも完璧なんだよ!)

B: Thanks, mate.

A: Hi, this is my friend, Mark. Sorry for his messy hair. He just got up.

(やあ、こちらは友達のマーク。髪がぐちゃぐちゃなのは、起きたばっかりのせいなんだよ。)

B: Thanks, mate.

下の会話は、バッチリ髪を決めている友人に対する皮肉を言うことで「いじって」いるわけですね。あえて皮肉を言うことで、友人との親しさを表しているのです。

日本を例に取ってみましょう。

日本には、「謙遜」の文化がありますよね。

次の会話を見てみましょう。

A:  Bさんの英語は、とても上手ですね。

B:  いいえ、まだまだです。

A:  Bさんの英語は、とても上手ですね。

B:  そうなんですよ、頑張って話せるようになりました!

日本でよく見られる会話は、おそらく上のパターンではないでしょうか。

日本の「謙遜する」文化は、「礼儀を重んじる」文化からきています。こう言う場面では、「事実を述べる」ことよりも、相手を不快にさせずに「礼儀正しく振る舞う」ことが良いとされているのです。

そして、このようなその国の「文化」を形作るのは、その国の「歴史」です。

文化は歴史に大きな影響を受ける

歴史の流れにより、文化や習慣が形成され、それらが個人の考え方(=話し方)に大きな影響を及ぼします。

例えば、大昔の日本では、稲田で働いていた村人たちはお互いに助け合って米を作りました。この稲作のおかげで、その村の人みんなに十分食べ物が行き渡るようになりました。だからこそ、その村の「和」を守ることは、生死に関わる死活問題でした。

もし、「和」を乱すようなことをしたら、「村八分」になる恐れがありました。

「村八分」になると、村人が助け合って収穫する米を分けてもらえなくなります。そうすれば、その人の家族には食べ物が回ってきません。「和」を乱すことは、自分だけではなく家族の死をも意味していたわけです。

この歴史的背景が、日本人が「和」を重視している理由の1つだと考えられているそうです。

逆に、アメリカ人は、歴史上に色んな国からアメリカに移住してきて、「自分」の居場所を自分の力で獲得して住み着きました。だから、「My(私の)」という概念がとても重要でした。同じ国の人からも、例え、隣に住む人からも、「My土地・My家族」を守らなければなりませんでした。そうでなければ、他人から奪われてしまう恐れがあったからです。

そして、現代に見られる個人主義的な考え方が生じたのです。

最後に

そこに住む人が使う言語には、その言語を使う人々のマインドセット(心の持ちよう)が大きく反映されています。そして、このマインドセットには、その国の文化と歴史が大きく影響しているのです。

そして、私たちが外国語を学ぶ際、その言語の「マインドセット」にも意識を向けると、コミュニケーションがずっと円滑になると、僕は考えています。

僕は、日本語を学び始めた最初の1年で、日本の歴史についての本の3冊、日本人の考え方についての本を1冊、日本の宗教「仏教と神道」を1冊ずつを読書しました。

これで、日本に住むことや日本人と会話することも勉強していました。

もちろん、僕は日本という国自体にとても興味があったのですが、これが僕の日本語学習にとても役に立ったことは、言うまでもありません。

では、英語を学習されている皆さんは、どうしたら良いのでしょうか?

僕のおすすめは、英語圏の方の話し方や振る舞いにも意識を向けることです。

映画やドラマを見る際は、言葉だけでなく、その人の話し方や考え方にも注意を向けてみてください。

リーディングであれば、英語の教科書だけではなく、英語圏のある国の歴史、文化、文学などを読んで見るのも、英語圏の人の考え方をより深く理解することにつながります。

英語だけじゃなく、英語圏の文化にまで理解が広がると、あなたの国際コミュニケーションレベルは格段にアップしますよ!

5月 16, 2021