写真:Photo by David Edelstein on Unsplash
2つ以上の言語を使い分ける際に、難しいのは「言葉が持つ意味の幅」を理解することです。
日本語を学習する僕としては、「で、へ、に」などの助詞を自然に使うと日本語がスムーズに話せるようになると言われることがあります。
英語を学習する日本人の視点からだと、at, in, with, forなどの英語の「前置詞」がそれに当たります。
しかし、これらの言葉は「意味の幅が広い(状況によって様々な使い方をする)」ので、完璧に理解し、使いこなすのが難しいですよね。
妻のAiちゃんも、未だに間違えることがありますよ。苦笑。
ですから、これから「日本語の助詞から学ぶ英語」シリーズをブログで書いてみたいと思います。
日本語の「助詞」と英語の「前置詞」は全く違うんですが似ているパターンがあります。
初回の今回は日本語の助詞「で」を詳しく見てみましょう。
「で」は言葉ではなく「労働者」
日本語の助詞「で」は、言葉ではなく「労働者」です。
労働者? 一体どういうことでしょうか?
これは、状況によって「で」の役割が異なるため、英語にするには別の単語が必要だ、ということです。
例えば、もし「”宿題”は英語でなんという?」と聞かれたら、すぐに「homework」という言葉を思い浮かべるでしょう。
でも「で」は英語でなんという? と聞かれたら、
えっとね・・・「at」・・・「by」・・・「in」???
とういうような曖昧な答えしか出てこないと思います。
これは、”で”の「英訳の言葉」を考えるより、文章の中で”で”がどういう「仕事」をしているのかを判断しないと、適切な英語を使うのは難しいからです。
“で”だけではなく、日本語の助詞はいつも、「この文章ではどんな仕事をしているのか」を考えて、英語にしていきましょう。
例)
東京に行きます
東京へ行きます
上の文章の日本語の助詞「に」と「へ」は、両方とも「to」という英語にすれば良いですね。
では、これから「で」をどんな英語にしたら良いか、具体的にみていきましょう。
「で」と「に」の共通点
最初の重要なことは、日本語の助詞「で」と「に」は、前の例の「に」と「へ」のようににある状況での英語は一緒です。だから、まずそれから始めましょう。
★「に」はある場所に「長期活動」をしていることを表します。
東京に住んでいます。
I live in Tokyo.
★「で」の場合は「短期活動」を表し、「に」と同じように「in」、または 「at」としても英訳できます。
昨日、レストランでご飯を食べました。
Yesterday, I ate at a restaurant.
Yesterday, I ate in a restaurant.
この場合は、inとatは両方「で」の意味がありますが、inはもうちょっと「レストランの中にで」を強調するニュアンスになります。
#1「道具として」の場合 = by/with a
さあ、下のそれぞれの例文で「で」はどんな英語にしたら良いでしょうか?
1) ボールペンで書きました。
2) この本は1時間で読みました。
3) あのテレビは10万円で買いました。
4) 台風で電車が止まった
基本的に上の例文では「で」= ”by”と考えている方が多いと思います。
しかし、前に述べたように「で」がどんな役割を果たしているか、という観点で文章を見ると、それぞれの文章で別の「仕事」をしていることに気がつきます。
1) ボールペンで書きました。
この状況では、「で」は「道具として」という役割を果たしています。
「道具を使って」は
by + 「道具の名前」
with a+ 「道具の名前」
と表します。
1) ボールペンで書きました。
I wrote it by pen.
I wrote it with a pen.
#2「時限」の場合 = in/within
2) この本は1時間で読みました。
この場合の「で」は、時間を表していますね。「時間」は道具として考えられますよね。だから、#1と同じ英訳で良いでしょうか?
違います!!
実は、#1の「仕事」は物理的な道具のみです。
「時間」は「期限」として考えなくてはいけません。
この場合、時間に関して使う「in」や「within」の方が自然です。
この時期/時間に=「in」
この時間の中で=「within」
ですから、下記のようになります。
2) この本は1時間で読みました。
I read this book in an hour.
I read this book within an hour.
#3「交換」の場合 = for
3) あのテレビは10万円で買いました。
これは意外と簡単です。
お金は道具ではなく「交換する物」です。
ここでの「で」の「仕事」は、「交換すること」ですので、「交換」する場合は「for」を使います。
3) あのテレビは10万円で買いました。
I bought that TV for ¥100,000.
#4「原因」の場合 = because of/due to
4) 台風で電車が止まった
これは1番間違えやすい文章です。
この場合にbyを使ってしまうと、外国人にはうまく伝わらない場合もあるかもしれません。
理由は、この例文で「台風」は道具ではなく、また「電車を止めた」主語でもありません。「台風」は電車を止めることは出来ないのです。
その代わりに「台風」は、運転手が電車を止めた「原因」です。
だから、byではなくbecause of、またはdue toが1番合っています。
つまり、下のようになります。
4) 台風で電車が止まった
The train (was) stopped because of a typhoon.
The train (was) stopped due to a typhoon.
いかがでしたか?
「場所 + で」も含め、文章の中で「で」がどのような役割を果たしているかによって、適切な英単語が必要だと理解いただけたと思います。
ですから、今週はぜひ、「で」の使い方を短期集中して学習を進めてみてください。こういう細かいことを意識できるようになると、あなたの英語力は益々自然になりますよ。
また、他の「で」の使い方でご質問があれば、どうぞコメント欄からお知らせください。
そして、ここからは「で」クイズがあります!!
このブログで学んだことをすぐに応用してみましょう!
Good luck!