写真:Photo by Daniel Jensen on Unsplash
このブログでは、ほぼ毎回、読者の皆様向けのアドバイスを書いていますが、今日のはちょっと違います。
もちろん、様々な経験から学んだ教訓を共有することもできますが、今日は逆に僕の先生としての経験よりも、言語学に対してのマインドセットを大きく変えた「恐怖の」経験についてお話したいと思っています。
この「怖〜い話」をシェアする理由は2つあります。
1つ目:僕たち(僕と妻のAiちゃん)は教師というだけではなく実践者です。
英語には
Practice what you preach
「人に説教することは自ら実行せよ」
と言う諺があります。
だから、これはこのブログのほとんどのアドバイスは、僕たちの本当の経験から来るものです。
今日のお話は、まさにその証拠の一つ。
2つ目:どんなレベルでも言語学はある程度「恐怖」があります。
下記で読むように「恐怖」を乗り越えるには、「行動に移す」ことが必要です。
このお話しをシェアすることで、読んでいるあなたも「私もやってみよう!」という気持ちになってもらえたら、とても嬉しいです!
これは、僕が1番恐怖を感じた言語に関する経験です。
2011年の11月、まだ結婚したばかりの僕たちは、イギリスに暮らしていました。
4月に渡英した妻のAiはまだ仕事が見つからず、毎日就職活動をしていました。僕は、会社の営業として働いていました。
僕はリクルート会社で働いていたので、毎日仕事でLinkedIn(ビジネスパーソンのためのFacebook)を使っていました。
ある日、「日本人通訳者募集」というタイトルの仕事を見つけました!!
「日本人のプロUFC格闘家の通訳者が必要です。水曜日から土曜日まで。」
と英語で書いてありました。
「じゃあ、妻のAiなら簡単にできるだろう!」と僕は思って、すぐに電話をして情報を送りました。
僕たちの住んでいた場所である、イギリスの中心のバーミンガムには日本人が少ないので、多分Aiほどの英語力があり、そして平日の時間のある人は、おそらく彼女しかいないだろうと思いました。
その日が終わるまでに、Aiはもう仕事をゲット。
電話だけの短いインタービューで決まりました。よし!
平日は色んな手続きがあって、ホテルのチェックインのサポートや、体重チェック、イベントのルール説明など、Aiはその格闘家の通訳を行った。
さらに、仕事として、土曜日のUFC試合で試合前後のインタービューも通訳者として手伝う必要もあったので、僕とAiは二人分の観戦チケットを無料でもらいました。
実は、僕たちは全くUFCについて聞いたこともなく、世界中に熱狂的なファンがいるポピュラーなイベントだとは全く知りませんでした。そんな私たちがもらったチケットは、最前列で、格闘家が戦うオクタゴンリングの目の前。おそらくUFC大ファンの人だったら、夢のような待遇でした。
でも、そのイベントの二日前、僕の昼休みにAiから電話があった。
「ニック、開催側から頼みがあって」
「何だい?」
「ここまでの通訳は私で問題ないけど、やっぱりUFCの格闘技はマッチョなので、大会当日のインタビューとかは男性の通訳者の方がいいんだって。」
「確かにそうだね。でも、もう明後日でしょう?誰に頼む?」
「あっ、いや、ニックの名前を言った。土曜日だからできるよね。」
その後は、大パニックでした。
その時の僕の日本語は、大分ペラペラではありましたが、「通訳」の仕事を上手くできる自信は全くありませんでした。
しかも、土曜日のインタービューはただのインタービューではなかったです!!
日本人の格闘家が勝ったら、「オクタゴン」という八角形のリングに入って2万人の監修の前で、勝利インタビューの通訳をしなくてはいけませんでした。
多分、「英語を話す」ことに緊張を覚えたり、自信がない中で英語を話さなければならない状況を経験したことのある方は、僕の気持ちがよく分かると思います。
僕の心臓は「ドキドキ」というより、「ドスン、ドスン」となっていました。
大会当日、不安感は募るばかりでした。
でも、勝利インタビュー以外にも、通訳しなければならない場面もありました。
試合の前に、UFCの公式的なルールを日本人の格闘家に訳さなくてはいけませんでした。
これには、この大会独特な単語や用語なども使われてはいましたが、何となくできました。
実は、格闘家はもうすでに全てのルールを僕より詳しく知っていたので、
ある程度は
I was let off the hook!
「大きな負担を負わずに済んだ」
少なくとも、僕の「何となく」の説明は通じました。
でもその時は、観客はいませんでした。
さあ、2時間後いよいよ日本人の格闘技の出番でした。
運悪く、相手はイギリス人でした。
僕のインタービューは、日本人の格闘家が勝った場合のみです。
もし彼が負ければ、
I would be let off the hook again
「また大きな負担を負わなくてすむ」
だから、試合の前半は、「どうか、勝ちませんように!」と祈ったことを、はっきりと覚えています。
しかし、その後、急に僕の気が変わりました。
僕はここまで来た。
インタービューの準備もした。
これまで、何千時間も自分の日本語上達に投資してきた。
これはもはや・・・試験だ!
それを考えた途端に、こんな言葉が頭によぎりました。
ニック 対 日本語
そうだ!これは僕の試合でもあるんだ!!
そう思った途端に、「勝て!勝て!」という応援の言葉が頭に浮かんできました。
もう逃げたくなりませんでした。
イギリス人の相手にもかかわらず、僕も格闘家もそれぞれの試合に勝ちたかったです。
そして・・・
勝ったあああああ!
その瞬間、緊張感が嬉しさに変わって、仕事のことはほぼ忘れました。
しかし、それは出番です。
「結構、よくできてたよ!」
これは、Aiからの評価。
僕は・・・あんまり覚えてません。苦笑。
最初は、観客が全員笑い始めた。
おそらく日本人の格闘技のために入ってきた通訳者が、イギリス人の僕だったからです。
でも、インタービューの直前に2つの大事なことに気が付きました。
1.これは「国際連合」ではありません。間違えても大丈夫。何となくで大丈夫!
2.多分、愛ちゃんと僕以外に日本語も英語も分かる人はいない!笑
だから、完璧な和訳じゃなくても大丈夫です。格闘家がアナウンサーの質問が理解できれば、問題なし!!
ほとんどの場合、僕たちの恐怖は、頭の中だけに存在します。
インタービューはすぐに終わって、全く問題はありませんでした。「完璧にできた」という意味ではなく、寧ろ、アナウンサーの質問を格闘家が分かるように和訳して、観客に伝わるように答えを英訳しました。
それで十分でした。
僕の敵をこの試合で倒しました。
その日、日本人の格闘家も僕も、それぞれの戦いを勝ちました。
でも、どうやって準備したのか。
どうやってあなたも、あなたの英語の敵を倒せるのか?
まあ、それはまた別の機会に詳しく説明します。
今は、あなたに大事な質問があります。
あなたの英語の敵は何ですか?
ビジネスの会議? 国際的な旅行? 英語でのスピーチやプレゼン?
コメントに書いて一緒に倒す方法を見つけましょう!
すみません・・・このピンボケの写真↑しか残ってなかった・・・苦笑