今日は、僕の語学学習に大きな衝撃を与えた「パレートの法則」についてお話します。
このことを学び、僕が語学学習で重要視することは
「どうやって学ぶか」から「何を学ぶか」に
大きく変わりました。
「単語の学習」を例に考えてみましょう。
多くの人は
「どうやって単語を覚えるか」
ということにフォーカスしてしまいがちですが、そもそも
「どの単語を覚えるのか」
にフォーカスする方が、学習としては効率的です。
このことを学んでから、自分自身の語学学習でも、生徒様の英語学習でもずっと速く結果を出せるようになりました。
時は1980年のイタリア
1980年代、イタリア人経済学者のヴィルフレド・パレートは、自分の庭で興味深いことに気が付きました。 いくつかの豆の鉢は、他の鉢よりも多くの豆を付けたのです! それも、その豆の量の違いは「少し」ではなく、かなり大きな物でした。
そして驚いたことに、
彼が収穫した80%の量の豆が、自分が育てた豆の鉢の20%から収穫された
と説明しました。
経済学者だった彼は、この原則を応用し、イタリア国内の80%の富が全人口の20%から生み出されていたことにも気が付きました。
これは、後にパレートの法則として知られることになりました
(または、“80/20の法則”とも言われる。対比は“95/5”である場合もある)。
この理論は、物事は平等に分散しているのではないことを教えてくれています。
比較的小さなインプットが、かなり大きな割合のアウトプットを生み出すことが出来る場合もある、ということです。
このことは、私たちの日常生活からもみてとれます。
街中に数あるレストランがガラガラである中、たくさんの人の列で溢れるレストランが少なからずありますよね。
また、どんなビジネスでも、全ての顧客が平等に収入を産むのではなく、少数のクライエントからの収入が売り上げの大部分を占めていたりします。
そして、この法則は、自然の摂理やビジネスに当てはまるだけでなく、
学習にも応用することが出来るのです!
パレートの法則と、英語学習の関係
では、これはあなたと、あなたの英語学習にどのように関係しているのでしょうか?
ビギナー
ビギナーは、次の質問をすることが最も適切です。
「より早く結果を出すには、自分の時間をどこに集中させる必要があるだろうか?」
つまり、出来るだけ早く英語を話せるようになるために、何を学ぶ必要があるだろうか?と考えるのです。
ビギナーには「知らないこと」がたくさんあるので、全ての学習内容が等しく重要だと考えると、英語学習に圧倒されてしまいます。パレートの法則を応用して「知る必要がある情報」に注目しましょう!
<単語>
一般的な常用単語は、たまにしか使わない具体的な単語に比べて、より重要度が高いです。
英語でのコミュニケーションの85%は、2,000語の常用単語で賄われています。
つまり、まずそれらの単語を覚えることに焦点を当てるのが賢明ですね!
<文法>
文法に関しては、下記の文法項目に焦点を当てて学んでいくことが手っ取り早いと思います。
・現在形(習慣やリーティーンについて話す)
・現在進行形(現在起こっている行動や、未来の予定について話す)
・過去形(過去 style=”font-size:16px;”に起こった出来事について話す)
・現在完了形(今までにした経験について話す)
上記の4つの項目は、英語の他の文法項目と比べても良く使われる項目なので、ここに時間を費やすことが賢明です。 そして、まず最初に学ぶことで、成功体験をより速く得ることができます。
中級者
中級者は、そこからの上達と発展に苦戦するレベル。だからこそ、ここからはより特定された分野の単語を学んだり、すでに知っていることを応用するスキルが求められます。
そのため、次の質問に明確な答えが必要です。
・「英語を使ってどのようなトピックを話す必要があるのか(例:ビジネス、旅行など)」
・「どのような状況で英語を使う必要があるのか?(例:ミーティング、電話、ホテルなど)」
・「英語のどのようなスキルを使う必要があるのか?(例:スピーキング、ライティングなど)」
これによって、あなたがどういう学習に集中するべきなのか、優先順位を明確にすることが大切です。
つまり、
中級者がより効率的に英語力を伸ばしていくためには、学習を「あなたに必要なスキルの習得」に絞って、学習していく必要があります。
例えば、あなたがオンライン・ソフトウェア製品を販売する営業職で、海外のクライエントとのやり取りのために英語を上達させたいとしましょう。
その場合の学習ポイントの例
<単語>
技術的な単語、契約書に必要な単語(規約、価格についてなど)、クライエントや顧客に関する単語
<状況>
出張(ホテルへのチェックイン、レストラン、簡単な日常会話)、ミーティング、電話、Eメール
<スキル>
スピーキング、リスニング(ミーティングや電話)、リーディング&ライティング(Eメール)
これらの状況に焦点を当てて、契約内容についての協議や会議の進行の仕方(オープニング&クロージング)、ホテルへのチェックインなど、自分が英語が必要な状況のロールプレイをすることで、実際にその状況で英会話をする時に出来るだけスムーズに会話が出来るようになります。
上級者
上級者はもうすでにに英語での日常会話で良く使われることはほとんど知っているため、上級者はパレートの法則を応用するのには最も難しいカテゴリーです。
だからこそ、
「何を学習するか」ではなく、「どのように学習するか」にこの法則を当てはめるのがベスト
です。
上級レベルでは、英語のインプットの題材としては常にネイティブレベルのもの(映画、海外ドラマシリーズ、Youtubeビデオ、記事など)を使い、アウトプットとしては会話やディスカッションを使うのが絶対にお勧めです。
・この本で良く出てくる動詞・名詞のペア(一緒に使われる動詞と名詞の組み合わせ)は何か?
・このドラマシリーズで良く使われることわざや句動詞、表現は何だろうか?
・ネイティブスピーカーが良くする質問へのリアクションは何だろうか?
これらの質問は全て、ネイティブスピーカーがどのような単語、表現、接続詞などを良く使うのかということをあなたが理解する手助けとなります。そして、それらを真似ることによってネイティブのように英語が話せるようになるです。
ここで重要なのは、上級者にとってはインプットされる全ての単語や表現が学習の題材になり得るということです。だからこそ、それらを学習する前に、「学習すべき情報かどうかの判断」が出来るか、が効率的な学習にはとても大切になってきます。
例えば、あなたが読んでいる本のある章で何度も出てくる単語があり、その言葉が本の内容に重要であるしましょう(その場合、その単語を知らなければ、調べよう!)。
「3のルール」
このような時、お勧めは「3のルール」。 短期間の間(テレビドラマであれば1回分、本なら1つの章、または1ページ中でも良い)に同じ単語が3回出てきたら、それは 1. 良く使われる単語や表現であること 2. あなたが見ているものや読んでいるものの内容を理解する上で、とても重要な単語や表現である
どちらであっても、学ぶ価値があるでしょう。
反対に、たまにしか出てこない単語はあまり使われない単語であったり、内容に深い関わりがない単語か、または、作者がその単語をあえて使う選択をしたにすぎない単語であるということですね。
また上級者に向けての最後のアドバイスは、
80/20の法則を使ってあなたのライフスタイルを分析し、自分にとって優先順位の高い単語を洗い出すこと
です。
あなたが良く見るのは、法律系や犯罪ドラマでしょうか? そうであれば、法律や犯罪関係の単語力をつける必要がありますね。
または、恋愛小説を良く読むのでしょうか?
そうであれば、恋愛や恋愛関係についての単語がより重要でしょう。
上級レベルでは、
あなたの人生の1部として英語使う意識を持ちましょう!
だからこそ、あなたの英語も日本語でのあなたの人生を反映するものでなくてはなりません。そして、そのために効率的な学習方法もある、ということなのです。
さあ、これが1980年代のイタリアでで育ったとても生産的な豆から生まれたアイディアです!
最後に、パレートの法則を使って「効率的に学ぶ」ことを極めたアメリカ人著者のティム・フェリスのTEDトークをシェアします。
興味がある方は、ぜひ見てみてください。
字幕は、Offにするこもできますし、英語にも、日本語にもすることが出来ますよ!